んん………。
またまた淫夢を見るのかよ………? もう何回目だよ。体力も限界だぞ。(笑)

アルクェイドだろう。
シエル先輩とか。
秋葉という可能性も。
翡翠だってありうるし。
琥珀さんというのもありかも。
……なぜか、あの子を思い描いた。
翡翠と琥珀さんというのはどうか。
案外イチゴさんかもしれないし。
いやいや、朱鷺恵さんということも。

…………そういえば…………まだ選択してないのあったっけ?
誰だったかな。………まあ、いいか。どうせ夢だし…………。

***************************** *******

時南医院に着くと、朱鷺恵さんが出迎えてくれた。シャワーでも浴びていたようで、
バスローブ姿だ。ちょっとドギマギする。その中身だって俺は知っているんだけど、
それとこれとは、別問題だ。
「あら、いらっしゃい、志貴くん。今日はどうしたの?」
「たまには顔を出しなさいと言ったのは、朱鷺恵さんじゃないですか。」
朱鷺恵さんはクスッと本当に嬉しそうに笑う。
「そうだったわね。こんなにすぐに訪ねて来てくれるなんて、嬉しいわ。でも生憎
お父さんは会合で、今日は一日いないのよ。」
「あ、そうなんですか。でも、朱鷺恵さんに会えたから、いいです。」
我ながら歯の浮くような台詞だ。朱鷺恵さんはケラケラと笑いながら、
「志貴くんも口が上手くなったものね。お姉さん、騙されないわよ。」
なんて事を言う。おっとりとした外見とは裏腹に中々一筋縄ではいかない人なんだ。
診療室に通される。
「最近身体の調子はどう?」
「そうですね。ちょっと疲労がたまっているくらいで、良好ですよ。最近は貧血も
おこしてないですし。」
「そう。でも、いくら若いといっても疲れを溜めるのは良くないわね。せっかく
来てくれたんだから、鍼を打っていきなさい。」
「いいんですか?何かお休みのところに来てしまったみたいですけど。」
「全然、構わないわよ。服を脱いで診療台に横になってね。」
お言葉に甘える事にして、俺は言われるまま、トランクス1枚になって横になる。
俺の胸には、『これで人間が生きていられる筈は無い』と思われる程の大きな傷痕が
ある。気味悪がられるので、人前で上半身を晒す事は、まず無い。朱鷺恵さんは、
事情を全て知っているので、その点は気楽なのだが、こんな姿を見られるのは、やはり
馴れる事が無く、恥ずかしい。傷どころか俺の身体の隅々まで朱鷺恵さんには知られて
しまっているのだけれど。
かつて2度程、朱鷺恵さんとは身体の関係を持った事がある。つまみ食い程度のつもり
だったのか、男として俺の事を好いていてくれてたのか、俺には判らなかった。
前にも言ったが、一筋縄ではいかない人なんである。その後も朱鷺恵さんは全く変らず
俺に接している。特に気まずい事もなく、特に馴れ馴れしくなる事もなかった。ガキに
過ぎない俺は戸惑いもしたが、今ではそれを有難いと思っている。
そんな訳で未だに朱鷺恵さんは俺にとっては憧れのお姉さんで、眩しい存在なんである。
だから、ずっと朱鷺恵さんの前で裸になるのは馴れないような気がする。

思い出に浸っているうちに、一通りの鍼治療は終わり、俺はすっかりリラックスして、
仰向けに横たわったまま、少しウトウトしていた。

ついっと。朱鷺恵さんの手が俺の右脇腹の少し上辺りを滑り。そこに鍼が打ち込まれた。
あれ?今迄そんなところに打たれた事無かったな?と訝っている間にも鍼はクイクイと
リズミカルに俺の体内に吸い込まれていく。
途端。尾底骨から股間部全体にかけてゾワッとした感覚が拡がり、股間の物が見る見る
充実してくる。慌てて起き上がろうとしたが、身体の自由がまったく利かない。
「と…朱鷺恵さん…。何を?」
「な・い・し・ょ」
左脇腹近くの同じ場所にも鍼を打たれ、俺は完全な臨戦状態になった。普通の勃ち方では
無い。比喩では無く鋼鉄の様な硬度を保っているのが自分でも判る。朱鷺恵さんによって、
俺のトランクスは脱がされ、生まれたままの姿にされた。
「や…やめて下さい…、朱鷺恵さん…。な…何を…何をしたんですか…?」
「うふふ。面白いでしょう?人体にはこんなツボもあるのよ?」
面白くなんか…。と言いかけて、朱鷺恵さんの目が尋常でない光を帯びているのに気付き、
言葉を飲み込んだ。
「わたし、『またしちゃってもいい。』って言わなかったかしら?わたしはこう見えても
有言実行の人なのよ。」
朱鷺恵さんはバスローブをハラリと脱ぎ捨てた。懐かしい、雪のように白い、素晴らしい
プロポーションをした、一糸纏わぬ裸身が現われた。が、俺の視線は直ぐに朱鷺恵さんの
股間に釘付けになった。朱鷺恵さんの股間から溢れ出たモノは既に足首にまで達している。
よく見ると床にも滴が落ちているのが見て取れた。慌てて僅かに自由になる首から上で
追っていくと、診察室の入口から滴はずっと続いている。俺は唖然とした。もしかすると
玄関先で俺に会った瞬間から朱鷺恵さんは欲情していたのだろうか?全く気付かなかった。
この人の考えている事は……。俺には永遠の謎だ。朱鷺恵さんは診察台に上り、俺の上に
跨がって来た。
「志貴くんは何もしなくていいからね。力を抜いてリラックスしてて。」
出来るか!と心の中でつっこんでいる間にも、俺の鉄棒は朱鷺恵さんの中にズブズブと
飲み込まれて行く。それなりの女性経験を積んだ今になってみると分るが、朱鷺恵さんは
とんでもない名器の持ち主だ。童貞だった俺があっという間に果ててしまったのは決して
恥ずかしい事じゃない。細かい襞の全てが独立した生き物の様にウネウネと蠢き、容赦なく、
俺を絞り上げていく。また、自分の持物を知り尽くしているらしい朱鷺恵さんが、絶妙な
腰遣いで、的確に、執拗に俺のツボを責め立ててくる。あっという間に射精直前の寂寥感が
脊髄から忍び寄って来た。
「と……朱鷺恵さん。お……俺……。」
我ながら、哀れっぽい喘ぎ声が洩れる。
「まだよ!まだイッちゃ駄目!志貴くん。」
その言葉と同時に、鼠径部の辺りに新たな鍼が打ち込まれた。
「と…朱鷺恵さん…。今度は何を……?」
「な・い・し・ょ。人体には色んなツボがあるのよ」
何を…と言いかけたところで、俺は最後の時を迎えた。凄まじい射精感に襲われ………。
それだけだった。射精感はあるのに、先端から放出された感覚が無い。言わば生殺しの様な
状態のまま、おれはビクンビクンと痙攣し、相変わらず朱鷺恵さんに責められ続けている。
「こ……これは……!」
間違いなく、先程打たれた鍼の仕業だろう。朱鷺恵さんの名器とテクニックの攻撃を延々と
受け続け、俺は何度となく、空しい射精感を味わわせられた。その度に自由が利かないと
いうのに、俺の身体はビクンビクンと面白いように跳ねる。その繰り返しの内、俺の全身は
硬直し、のべつビクッビクッと痙攣するだけになった。延々と射精し続けているのか、感覚
がもう無くなってしまっているのか、頭の中がグチャグチャになって何だか分からない。
止めどなく涙が溢れた。苦痛にも似た快感なんてもんじゃない。一度死んだ事のある俺には
分かる。これはもう臨死状態に近い。さっきからキーンと耳鳴りがしている。ふと気付くと、
それは間断無く発せられ続ける朱鷺恵さんの悦びの声だった。
気付いた時には、朱鷺恵さんは十何回目かの…いや、もっと多いかも知れない……の絶頂を
迎えたところだった。流石に朱鷺恵さんにも疲労の色が濃い。死相にも似た表情をしている。
きっと俺もそんな顔をしているのだろう。いつも死と隣り合わせみたいな人生を送ってきた
俺だけど、これほど死の色彩の濃いSEXをしたのは初めてだ。朱鷺恵さんは、ややもすると
とことん堕落していってしまいそうな危うさがある。放っておいたら本当にこのまま終局に
向って突っ走ってしまうかも知れない。
「朱鷺恵さん……。もう……許して。」
子供の泣きじゃくる様な声しか出てこない。
はっと朱鷺恵さんが顔を上げ俺を見た。顔に理性が戻ってくる。初めて俺の様子に気がついた
かのように、驚いた表情をし、次いで泣きそうな顔になった。
ようやく朱鷺恵さんは俺の物を解放し、接吻をしてきた。ハラハラと朱鷺恵さんの涙が俺の
顔に降りかかった。
「ごめんね…ごめんね…。志貴くん……。許して………。」

朱鷺恵さんは俺の未だそそり立った分身を銜えると、鼠径部付近に刺さった鍼を抜いてくれた。
文字通り爆発するような放出感があった。朱鷺恵さんが口で受け止めてくれなかったら、軽く
天井まで到達したんじゃないかと思える程だった。俺は普段でも量は多い方だと思うんだけど、
普段の十倍位の時間、放出感が続いた。苦しそうな表情をしながらも、朱鷺恵さんは全部飲んで
くれた。尚も朱鷺恵さんは、右手で俺を扱き上げ、残った全ても吸い出してくれた。それだけで
通常の一回分位の量があったんじゃないだろうか。
朱鷺恵さんは疲れ切った様子で、俺の太股にことんと頭を乗せている。俺は、これ以上無い位の
解放感に包まれ、全身が拡散していってしまいそうな感覚を味わっていた。そのまま二人とも
暫く眠ってしまったらしい。

気が付くと、朱鷺恵さんは診察台に両手を乗せ、その上に顎を乗っけてこちらを見つめていた。
俺はまだそそり立っていて、身体の自由が利かないままだ。最初の二本の鍼が抜かれて無い
所為だ。
「あのぅ。朱鷺恵さん?いい加減にこれ抜いてくれませんか?」
「うーん。どうしようかなー。このまま志貴くんをわたしのSEXの奴隷として、ここに監禁する
っていうのもいいかなー、なんて。」
「と、朱鷺恵さんっ!」
本当にやりかねない恐さが朱鷺恵さんにはある。
「ふふっ。冗談よ。」
鍼が抜かれると、枷から放たれた様に、鉄棒が通常の状態に回帰していく。
「何でこんな事を?」
もそもそと服を着ながら尋ねる。朱鷺恵さんはとっくに服を着ている。
「何でって……。わたしが志貴くんを好きだから。」
思わず突っ込みそうになるところを、朱鷺恵さんは言葉を続ける。
「でも、志貴くんのステディになるのは、諦めたんだ。私。」
何で…。と、聞きかけてやめた。色々問い質したい事はあったけど、何となく無神経な問いかけ
のような気がしたからだ。
「だから…。志貴くんが誰かと付き合っても…、結婚しちゃったとしても…。時々は慰めに来て
くれたら嬉しいな。」
最後の方は泣き声になっている。思わず俺は朱鷺絵さんを抱きしめて、
「うん。約束する。」
と言った。嘘偽りの無い本心だ。先程のも彼女なりの寂しさの表現だったのだろうと、物凄ーーく
善意に解釈する事にした。

帰る道すがら考えた。無責任な約束だったろうか?
でも、これ、夢なんだよなー。これは俺の願望なんだか、朱鷺恵さんの願望なんだか。
明日も同じ事繰り返すのかな。もうあんなのは勘弁だなー。今日の事忘れてしまってるとしても。

今度はもう少し優しく抱いて欲しいよな。(^^;

でも、あれが朱鷺恵さんの願望だとしたら、逃れようが。(^^;
                                      FIN

※念の為に。作者に鍼治療の知識なんてありません。作中のツボは、只の妄想の産物です。
 真に受けないように(笑)。(似たようなのが実在してるのかも知れませんけどね。(^^;)